コロナ対策で中途半端な外出自粛は経済的な崩壊を招くことをシミュレーションを通して伝えたい
今回伝えたいことは3つです.
①コロナ対策で3月末程度の外出者数で自粛しなかった場合感染者数はどう変化するか
②安倍首相の外出数最低7割減の約束を守ると感染者数はどう変化するか
③7割減とならず今ぐらいの4割程度減の場合感染者数はどう変化するか
(③が最も伝えたい点)
・モデルの前提(結論だけ見たい方は飛ばしてもらって構いません
伝染病の感染者というのは,古典的にはSIRモデルというモデルで記述されます.
SIRモデルの詳細な記述はwikiに任せるとしますが,
(https://ja.wikipedia.org/wiki/SIR%E3%83%A2%E3%83%87%E3%83%AB)
このモデルで感染者数を決めるパラメータはmpとβであらわされます.mpは一人当たり1日平均m人と接触して,感染率をpとすると,m×pに比例して感染者数が増えていくよねって所,βは回復率を表し,1から潜伏期間を割った数で求められます.
ここでβはいくつぐらいと考えると以下サイトが参考になります.
新型コロナ発症は平均5.2日と算出 福井県、入院日数は15.7日 | 社会,医療 | 福井のニュース | 福井新聞ONLINE
潜伏期間は平均5.2日ということです.ここから微熱なので放置する人,もしくは熱すら出ないので感染にも気づかない人がたくさんいることを考えると隔離するまで10日程度と考えることにします.
次にmpですが,実際の首都圏の感染者数の増え方から類推します.
首都圏は4/4に2000人弱,4/18には5000人と14日で約2.7倍=eとなっています.感染者数がe倍になった日数をDと置くとSIRモデルの微分方程式から
mp-1/β=1/D とおけるので,mp-1/10=1/14 となり,mp≒0.171と置くことができます.この数字は接触時の感染率pを3%とすると,一日平均5-6人と接触している状態を指します.(通勤電車に乗ってたら余裕で越えそうですね)
さて,前提はこれくらいとして,もし自粛がなく,3月終わりと同程度のまま放置するとどうなるでしょうか.その結果が図1
になります.
ここでは首都圏の人口を1000万と簡便化しています.横軸が経過日数,縦軸は非感染者(緑),感染者(赤),回復者(死亡者)(青)です.
赤線を見ればわかるように,収束には約200日かかり,青を見ればわかりますが総計700万人が感染してしまいます.こうなると医療崩壊は免れないので死亡率を5%とすると約35万人の方が亡くなってしまう計算になります.
図1 3月末のまま外出自粛をしなかった場合の感染者数シミュレーション
では,安倍首相が目標に掲げるように最低7割接触を減らしたとするとどうなるでしょうか.授記でいうmpが7割減になることを意味します.その結果が下図です.
完全に感染者数が早期で0になっていることが分かります.これが自粛すると効果があるという話です.
図2 3月末から8割減を守った場合の感染者数推移
本記事で伝えたいのは3つ目です.もし安倍首相の7割は達成できず,だらだらと4割程度の自粛にとどまってしまったらどうなるでしょうか.この結果が下図になります.収束しているように見えますが・・・
横軸を拡大してみましょう.
図3 4割減をだらだら続けた場合の感染者数シミュレーション
図4が横軸を3年まで拡大しましたがじわじわと増え続けています.
これがコロナのシミュレーションをして一番の気づきであり,問題だと思っている点です.3年も感染者数が増え続けるなんで経済的にも私生活でも地獄だと思いませんか.
この数カ月ですら観光業や飲食業をはじめとして大きな打撃を受けているのに,この状況が続けば倒産企業や経済影響を考えるだけで眩暈がします.
図4 図3を横軸3年まで拡張(4割減をだらだら続けた場合の感染者数シミュレーション)
上記結論ですので,今のような緩い自粛ではなく,通勤含めて強制的に 外出禁止されなければならないのは時間の問題だと思っています.
参考サイト:
https://vdata.nikkei.com/newsgraphics/coronavirus-japan-chart
https://ja.wikipedia.org/wiki/SIR%E3%83%A2%E3%83%87%E3%83%AB
http://seaotter.cite.tohoku.ac.jp/coda/python/p-6-application-sup-ode-sir-model.html